劇作家・演出家 樋口ミユ インタビュー

201712月に上演した『ニーナ会議-かもめより-』。チェーホフの「かもめ」を女優に憧れるニーナの視点で描き、脳内で起こっている女性ならではの「会議(選択)」を表出させ、そこにピアノの生演奏、ダンス要素も加えたこの作品で若葉町ウォーフの繋留カンパニー(レジデントアーティスト)に選ばれました。満を持しての再演となる今回、本作の構成・演出を担当する樋口ミユに本番2日目終わりに思いを伺いました。

 

まず、初日、二日目が終わりましたが、いかがですか?

樋口:まだ始まったばっかり。でも再演だからか、なんだか初日、二日目、という感じもしない。初演もウォーフだったことも関係しているんだろうなと思う。今回、劇場入りしてから初日まで劇場で十分な時間を過ごせたというのも、きっと大きく関係しているんだと思う。場所と仲良くなる時間があるってとっても重要。

『ニーナ会議』は一昨年の12月に初演しました。再演をする上で、演出家として何を意識されました?

樋口:深くすること。進化じゃなくて、深化させること。大きく変えるんじゃなくて細かいマイナーチェンジをすると結果的に、何が変わったかわからないけれど、なんだかすごく違うって見える。そうなったらいいなと。


今回、作品を見させていただいて、初演時は何か若さゆえの危うさなどを孕んでいましたが、再演ではどこか大人らしく感じられました。何か俳優陣に具体的な指示をされたんでしょうか?
樋口:初演は1年半くらい前のことだけど、きっとこの1年半で俳優のみんながそれぞれ大人になった。たった1年半だけど。
それと一度「ニーナ会議」を上演しているから、初演で捉えきれなかったこととか、考え抜くところまで進めなかったこととか、やり残したこととか、それぞれ心の中にあって。再演をやるなら初演でのリベンジがあるんだと思う。たぶんね。
だから稽古の初日に話した「深化」させようってことが、みんなにとってもぴったりきたんだと思ってる。具体的な指示、というわけではなくて。

どうしたい?どう考えている?どう思っている?
それを聞く。初演の時は、まだ見ぬ作品を作るわけだから、当たり前だけどいろんなことがわたしもみんな初めてで、再演の稽古場は初演の時よりも、俳優たちが今考えていることがたくさん言葉になって飛び交ってた。ニーナが4人も出てくるけれど、それぞれの役以外の他のニーナについて、初演のときはこのニーナは理解出来なかったけれど、今は理解が出来る、とか、同じテキストなのに俳優それぞれの読み方が変化しているのも、1年半っていう時間があったからだと思う。

樋口さんは、ご自身のセルフユニット「Plant M」や、他団体での作・演出も多くされていますが、noyRで作品を上演する際に意識されていることはありますか?
樋口:演出上、稽古場で俳優との関わり方はきっとどの座組でも同じだと思う。けれど、noyRは演目自体がnoyRの個性があって、わたしはいつも提案してくれる演目のことを学ばせてもらっている。さてこの演目を、noyR的にするにはどうするべきか? ゼロベースから自分の作品を書いたり構成したりするのではなくて、完成された戯曲を、今、自分たちがどう考えどう捉えるのか。それがきっとnoyR的かなと思います。


今回の再演は全15ステージと団体としても過去最高のステージ数となります。作品を成熟させていくには稽古よりも本番を重ねていく必要があると思いますが、作家として、演出家として楽日にはどのような変化が生まれていることを期待しています?
樋口:戯曲も演出も飛び越えて、俳優が最も自由に走り出すこと。俳優が自由なのはとても当たり前のことだけれど、本当に自由になること。戯曲の意図も演出の意図も越えて。

そんなことを期待しています。

 

絶賛上演中

演劇ユニットnoyR vol.7『ニーナ会議-かもめより-』

417日(水)~28日(日) @若葉町ウォーフ

原作:A.チェーホフ  構成・演出:樋口ミユ 振付:仲道泰貴
出演:大木実奈、仲道泰貴/大道朋奈、富岡英里子、平井光子、岸本昌也
ピアノ演奏:黒木佳奈

チケット申込みはこちら↓
http://481engine.com/rsrv/webform.php?sh=2&d=0ef779d4b3

 

「かもめ」あらすじーーーーーーー

湖畔。女優のアルカージナと愛人の小説家トリゴーリンが滞在している中、アルカージナの息子トレープレフは恋人のニーナを主役にした芝居を上演するが、アルカージナは芝居の趣向を揶揄するばかり。トレープレフは憤慨しながら退席する。アルカージナは、ぜひとも女優になるべきだ、とニーナをトリゴーリンに引き合わせる。 ニーナは、トリゴーリンに名声への憧れを語り、徐々にトリゴーリンに惹かれていく。トレープレフは自殺未遂を引き起こし、さらにはトリゴーリンに決闘を申し込むが、取り合ってすらもらえない。モスクワへ戻ろうとするトリゴーリンに、ニーナは自分もモスクワに出て、女優になる決心をしたと告げ、二人は長いキスを交わすのだった。 そこから2年後......

樋口ミユ [ひぐち・みゆ]
劇作家・演出家 Plant M 主宰。劇団Ugly duckling 旗揚げ以降、解散までの劇団公演32 作品の戯曲を執筆する。劇団解散後は、座・高円寺の劇場創造アカデミー演出コースに編入し、佐藤信氏に師事。2012 年にplant M を立ち上げる。大阪、東京とフットワーク軽く飛び回り各地で公演をしている。毎年3月春分の日には、東日本大震災のチャリティリーディングを行っている。 受賞歴1999 月『深流波~シンリュウハ~』で第OMS 戯曲賞大賞を受賞。2000月『ひとよ一夜に18片』で2年連続、第OMS 戯曲賞大賞を受賞。2012 6月第38 回放送文化基金賞受賞ラジオドラマ部門『飛ばせハイウェイ、飛ばせ人生』2017 月大阪市文化祭奨励賞女優の会『あたしの話と、裸足のあたし』の舞台成果